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「全部の歯をまとめて治したいけど、どこから手をつければいいの?」「噛み合わせの再構築って、どんな順番で進むの?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
結論からお伝えすると、全顎治療における噛み合わせの再構築には「基礎固め→噛み合わせの決定→最終修復」という大きな3段階の順番があります。この順番を守ることが、治療の安定性と長期的な予後を左右します。治療全体の期間は症例によって異なりますが、おおむね1〜3年程度を想定するケースが多く見られます(個人差があります)。
歯科治療には、1本の虫歯だけを治す「部分治療」と、お口全体の状態を診断したうえで包括的に治療計画を立てる「全顎治療(フルマウスリコンストラクション)」の2種類があります。
全顎治療が必要になるのは、長年にわたって歯を失ったり、歯周病・虫歯・歯ぎしりなどが複合的に重なったりして、お口全体の噛み合わせ(咬合)が崩れてしまった状態のときです。この状態を「咬合崩壊」や「口腔崩壊」とも呼びます。
部分治療を繰り返すだけでは根本的な解決にならないケースも多く、全体の噛み合わせを整えながら各歯の機能と見た目を同時に回復させる「咬合再構成(咬合再構築)」のアプローチが求められます。
私たちの歯は、上下の歯がバランスよく噛み合うことで機能しています。しかし歯を失ったり、長期間にわたる摩耗・欠損・歯周病が進行したりすると、残った歯が傾いたり、対合歯(向かい合う歯)が伸び出したりして、噛み合わせの基準そのものが変わってしまいます。
この状態で個々の歯だけを補修しても、崩れた噛み合わせの基準の上に新しい修復物を乗せることになるため、修復物が壊れやすくなったり、顎関節や周囲の筋肉に過度な負担がかかったりするリスクがあります。だからこそ、全体の噛み合わせを正しく設計しなおす「再構築」が重要なのです。

次のような状態が当てはまる方は、全顎的な噛み合わせの評価を受けることを検討してみてください。
全顎治療の経験が少ないクリニックでよくあるのが、「気になる歯から治していく」というアプローチです。たとえば、見た目が気になる前歯のセラミックをまず入れてしまう、あるいは失った奥歯にすぐインプラントを埋入するといった進め方です。
しかしこれは、土台が不安定なままビルを建てるようなもので、せっかくの修復物が長持ちしなかったり、治療後に噛み合わせが合わなくなったりする原因になります。正しい順番を踏まえることで、治療の安定性・審美性・機能性のすべてが高次元で実現できます。
「全部まとめて一度に治してほしい」と希望される患者さんは少なくありません。気持ちはとてもよく理解できますが、全顎治療では治療の順番と段階を踏むことが長期的な成功の鍵です。
歯の状態は、治療を進める中で変化します。歯周組織が安定してから初めて正確な噛み合わせが計測できる、根管治療後に歯が落ち着いてから最終補綴に移行できる、といった理由があるため、段階的に進めることが歯科医学的に合理的なのです。
全顎治療の期間は、お口の状態・欠損の数・必要な治療の組み合わせによって大きく異なります。軽度の咬合崩壊であれば数か月で最終修復まで進められるケースもありますが、歯周病や多数歯欠損を伴う重症例では1年半〜3年以上かかることもあります。まずは詳細な診査・診断を受けることが大切です(個人差があります)。

全顎治療における噛み合わせの再構築は、大きく「①基礎治療フェーズ」「②咬合設計フェーズ」「③最終修復フェーズ」の3段階に分けて考えるとわかりやすいです。それぞれのフェーズで何をするのかを見ていきましょう。
全顎治療でまず行うべきは、歯周病・虫歯・根管(歯の根っこ)の感染など、お口の中の炎症や感染源を徹底的に除去することです。歯周病が残ったままでは骨が溶け続けるため、その上に補綴物(かぶせ物)を作っても安定しません。歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)→再評価→必要に応じて歯周外科の流れで、歯周組織をまず安定させます。同時に、虫歯の除去・根管治療(精密根管治療)も行います。抜歯が必要な歯はこの段階で判断します。
基礎治療で口内が安定したら、次はいわゆる「噛み合わせの設計」を行います。顎の位置(下顎位)を精密に計測し、上下の顎関係を基準にした咬合高径(かみ合わせの高さ)を決定します。この段階では、仮歯(プロビジョナルレストレーション)を使って実際の噛み合わせを試しながら調整することが非常に重要です。仮歯での生活を通じて顎・筋肉・歯周組織の順応を確認しながら、最終補綴の設計を精度よく詰めていきます。矯正治療が必要なケースは、この段階または基礎治療後に組み込むことが多くなります。
仮歯で設計した噛み合わせに問題がないことを確認したら、いよいよ最終的な補綴物(セラミッククラウン・インプラント上部構造・ブリッジなど)を製作・装着します。最終修復は通常、奥歯(臼歯部)から順番に安定させ、最後に前歯(前歯部)の審美修復を仕上げる流れをとります。これにより、機能面の安定を確保したうえで審美性を追求できます。院内技工所がある場合は、補綴物の微調整をその場で行えるため、精度と効率が高まります。
| フェーズ | 主な治療内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①基礎治療 | 歯周病治療・虫歯除去・根管治療・抜歯判断 | 炎症・感染ゼロが絶対条件 |
| ②咬合設計 | 下顎位決定・仮歯製作・矯正(必要時)・インプラント埋入 | 仮歯での確認が精度のカギ |
| ③最終修復 | セラミック・インプラント上部構造・ブリッジ装着・審美仕上げ | 奥歯→前歯の順で完成 |
全顎治療において、歯周病治療のステップを省略したり短縮したりすることは、後の治療の失敗につながるリスクがあります。歯周病によって骨が溶けた部分は、治療によって一定程度の回復が期待できますが、炎症が残ったままでは骨吸収が進み続けます。
歯周組織が安定するまでには、一般的に3〜6か月の基礎治療期間が必要とされています(個人差があります)。この期間を焦らず丁寧に過ごすことが、最終修復の長期安定につながります。
インプラント治療を含む場合、埋入のタイミングは「咬合設計フェーズ」の中に位置づけられることが多いです。具体的には、歯周病・感染の基礎治療が完了し、骨の状態が安定した段階でインプラントを埋入し、オッセオインテグレーション(インプラントと骨の結合)が完成した後に上部構造(かぶせ物)を最終修復として装着します。
骨量が不足している場合は、骨造成手術(GBRやサイナスリフトなど)が先行することもあります。このような場合は全体の治療期間がさらに延びることがあります(個人差があります)。
⚠️ 注意:治療計画は必ずお口全体を診た上で立案すること
インターネットで調べた「順番」は一般的な目安です。実際の治療の順番は、歯周病の進行度・根管の状態・骨の量・咬合の状態・矯正の必要性など、個々の状態によって大きく変わります。自己判断で治療の優先順位を決めず、必ず詳細な診査と診断を受けた上で、担当医と一緒に治療計画を立てるようにしてください。
全顎治療の成否を分ける大きなポイントが「仮歯の質と期間」です。仮歯は単なるつなぎではなく、最終補綴物の「試作品」として噛み合わせ・見た目・機能を検証する重要な役割を果たします。
仮歯の段階で顎の位置・前歯の長さ・笑ったときのラインなどを繰り返し調整し、患者さん自身が実際に使いながら確認します。この過程を丁寧に行うことで、最終補綴物を入れたあとの修正が最小限になります。仮歯の期間は通常数か月〜1年程度が目安ですが、重症例ではそれ以上になることもあります(個人差があります)。

全顎治療・咬合再構築では、歯周病・根管治療・補綴(かぶせ物)・インプラント・矯正・審美歯科など、複数の診療領域が絡み合います。これを1人の歯科医師だけで対応することには限界があり、各分野の専門医が情報を共有しながら一つの治療目標に向かって進む「インターディスプリナリーアプローチ(統合診療)」が理想とされています。
このアプローチによって、各専門医の視点から治療計画を精査でき、見落としや治療の矛盾を防ぐことができます。
✅ 院内完結(統合診療)のメリット
⚠️ 複数院紹介の場合の課題
全顎治療・咬合再構成の難症例では、治療を始める前の「精密な診断・治療計画の立案」に十分な時間を割くことが、長期的な成功につながります。セファロ分析・歯科用CT・フェイスボウトランスファー・顎運動解析など、各種精密診断ツールを活用してデータを集め、ゴールから逆算した治療計画を立てることがプロフェッショナルな統合診療のあり方です。
ここまで、全顎治療の噛み合わせ再構築の順番と流れについて解説してきました。最後に、当院がこの複雑な治療にどのように向き合っているかをご紹介します。
「どこから治せばいいかわからない」「他院で断られた」「セカンドオピニオンを求めている」方のご相談をお待ちしています。東京都中央区八重洲、東京駅直結で雨の日もご来院いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。
💬 理事長・北原信也(Dr. Nobu)より
全顎治療・咬合再構成は、歯科治療の中でも特に計画性と専門性が求められる分野です。私たちが大切にしているのは、審美・機能・構造のすべてのバランスを高次元で整えること。治療の順番を丁寧に守り、各専門医が密に連携することで、患者さんお一人おひとりのお口に合った唯一無二の治療をご提供します。「どこから相談すればいいかわからない」という方こそ、まず私たちにお声がけください。あなたのお口の問題を「共に」解決してまいります。